字幕翻訳の完全ワークフロー:文字起こしから納品まで

動画に外国語字幕を付ける作業を「文字を翻訳すること」ひとつだと考えがちですが、実際の納品物はタイムコード付きの字幕ファイルです。どこか一段を抜かすと、必ず後工程で手戻りが起きます。流れを四つのステップに分け、各ステップの成果物を明確にして、一段ずつ完成させてから次へ進めば、問題は表に出たまま直せます。

文字起こしから最終納品までの四ステップ
元素材は認識または文字起こしで原文言語のSRTになり、用語を統一してから目標言語に翻訳し行長を制御、最後に字幕を書き出すか映像に焼き込みます

ステップ1:文字起こしと校正——きれいな元字幕を作る

成果物は原文言語のSRTです。ここで起きがちな失敗は「認識は正確だったのに、誰も校正しなかった」。

SmileSubの字幕生成 で動画や音声から音声認識できます。対応する原文言語は中国語・英語・日本語・韓国語。認識結果は1行ずつ聞き合わせて校正します。固有名詞・数字・同音異義語が間違いの集中地帯です。ついでにフィラー語や繰り返し言葉も削りましょう。字幕に必要ありません。音声の品質が悪いと抜けや誤字が出るので、先に文章を完成させてから次へ進みます。

きれいな元字幕があれば、以降のすべての工程が楽になります。認識結果に重複や形式の問題があれば、字幕クリーンアップツール で先に直してから翻訳へ進みます。

ステップ2:用語を統一する——対照表を作る

成果物は用語集です。製品名・人名・単位・ブランドの表記を、全編でどう書くか決めます。

同じ概念は全編を通して一つの訳語に統一し、前後の不一致を防ぎます。計量単位や日付の書式は元言語をそのまま写さず、ターゲット市場に合わせます。文化的なジョークやスラングは、ローカライズするか削るかを決めておきます。この表は多言語プロジェクトで特に効果を発揮します。用語集を一つ用意して全言語に渡せば、言語ごとにバラバラに訳して後で食い違う事故を防げます。多言語素材の計画については 1本の動画から多言語版を作るワークフロー を参照してください。

ステップ3:翻訳と行長の制御

成果物は目標言語のSRTです。ここでの落とし穴は「訳し間違い」ではなく「訳しても収まらない」こと。

翻訳はテキストだけに作用し、タイムコードはそのまま維持します。いじると口の動きとズレます。行長は制御が必要です。一般的な字幕ガイドラインでは、中国語は1行18字以内、ラテン文字は1行42字以内・最大2行とされています。表示速度も同様に、中国語は毎秒9字以内、ラテン文字は毎秒20字以内、1つの字幕の表示時間は1〜7秒が目安です。二言語の並び順も一度決めたら全編で統一します。原文が上か訳文が上か、途中で切り替えないこと。

翻訳後は SRT翻訳ツール で目標言語ファイルを直接生成できます。「原文+訳文」を並べるなら バイリンガルSRT生成ツール を使います。書き出し後は 字幕規格チェックツール で行長と速度の超過を一括確認し、直すべき行を一度に洗い出せます。

ステップ4:納品——ソフト字幕か焼き込みか

成果物は最終的な動画または字幕ファイルです。公開するプラットフォームによって形を決めます。

CCトラックに対応するプラットフォームにはSRT/VTTをアップロードします。視聴者がオンオフでき、プラットフォームもテキストを読んでレコメンドに使えます。縦画面のSNSや、全員に確実に見せる必要があるものは、字幕を映像に焼き込みます。Web動画に載せるなら SRT→VTT変換ツール、フォントや位置を細かく整えるなら SRT→ASS変換ツール を使います。タイムコード全体がずれているときは タイムコード調整ツール で一括シフトし、1行ずつ手で直す必要はありません。

焼き込みとソフト字幕の選び方は 焼き込み字幕とソフト字幕の違い を、公開前のチェック項目の全体像は 動画海外展開のローカライズチェックリスト を参照してください。

よくある質問

文字起こしと翻訳を一気にやれますか?

技術的には可能です。認識ツールが元字幕を、翻訳ツールが目標字幕を出せるので、つなげて処理できます。ただし途中に人手の校正を一回挟まないと、間違いが最終納品までそのまま流れ込みます。最低でも校正後と用語集作成後の二箇所で一度立ち止まることをおすすめします。

行長の制御はなぜ必須ですか?

訳文の文字数は元言語と異なり、英語は中国語より長くなる傾向があります。行長を制御しないと、字幕がセーフエリアからはみ出したり3行に押し込められたりして、読みやすさが落ちます。規格チェックツールなら超過行を一度にすべて列挙できます。

ソフト字幕と焼き込み字幕、両方作りますか?

公開チャネル次第です。CCトラックを追加できるプラットフォームはソフト字幕のままでよく、SNSや強く訴求したい場面では焼き込み版を追加します。両者は同じSRTソースから作られるので、書き出し形式が違うだけで、二度手間ではありません。